にとはちに守られ、にとはちと闘い、にとはちと共に活動する「にとはちさま保存会」

にとはちさま

地域、学校、PTAとで成り立つ「にとはちさま保存会」

『児童演劇ーにとはちさま』の事業を運営しているのが、会長の伊藤一之氏が率いる「にとはちさま保存会」なのですが、私ちいこはこの団体の一員なのでございます。
2002年、古牧地区100周年記念事業として、『義民助弥の物語ーにとはちさま』の児童演劇が古牧地区の児童が通う古牧小学校、緑ヶ丘小学校、南部小学校の3校の児童によって開催されました。
川端地区にお住いの山本さんが児童向けの資料の作成を担当、台本は劇団「空素」の中村利通団長が制作にあたられました。
当初は、この1回限りのイベントの予定だったのですが、地元の人々の中でも、「助弥さん」という素晴らしい人物が長野市古牧地区に実在した事実を知る人は少なく、このまま「にとはちさまを後世に伝えることなく歴史に埋もれさせてはいけない!」「1回だけの公演で終わらせず、継続していこうではないか!」という声が上がりました。

そして、翌年度、古牧小学校で第2回目の公演が行われ、この時から、伊藤氏が代表となり、また、演技指導には劇団「空素からす」の小池氏が引き受けることになります。
その後、2005年「にとはちさま保存会」設立となり、古牧小学校、緑ヶ丘小学校、南部小学校の各小学校の協力で、毎年順番で演劇の公演をしていくことが決まります。
古牧地区の活動として、「にとはちさま保存会」が本格的な演劇事業のスタートを切りました。

児童演劇 にとはちさま 今日までの歩み

2002年11月公演  (古牧小学校【第1回】)
2004年2月公演   (古牧小学校【第2回】)
2005年2月公演  (緑ヶ丘小学校【第3回】)
2005年11月公演  (南部小学校【第4回】)
2006年11月公演  (古牧小学校【第5回】)
2008年2月公演  (緑ヶ丘小学校【第6回】)
2008年11月公演  (南部小学校【第7回】)
2010年3月公演   (古牧小学校【第8回】)
2010年12月公演 (緑ヶ丘小学校【第9回】)
2011年12月公演 (南部小学校【第10回】)
2012年9月公演  (古牧小学校【第11回】)
2013年11月公演(緑ヶ丘小学校【第12回】)
2014年7月公演  (南部小学校【第13回】)
2015年9月公演  (古牧小学校【第14回】)
2016年10月公演(緑ヶ丘小学校【第15回】)
2017年10月公演 (南部小学校【第16回】)
2018年9月公演  (古牧小学校【第17回】)
2019年9月公演 (緑ヶ丘小学校【第18回】)
2020年 活動停止
2021年 活動停止
2022年11月公演 (南部小学校【第19回】)※3・5学年のみ鑑賞
2023年11月公演 (古牧小学校【第20回】)

ちいこ
ちいこ

第15回目までは、地域公演(日曜公演:観客は一般のお客様)と学校公演(月曜公演:観客は全校児童)の2日間で2回公演しておりました。第16回目以降は、地域公演のみとなっています。

にとはちさま保存会の活動

劇団員の募集

「にとはちさま」を演じることが出来るのは、古牧地区にある小学校3校の4~6年生。(※2023年度は、人数が足りず、3年生も加わりました。)
その年によって、クラス単位で取り組んだり、学年全体で取り組んだり、希望者を募ったりと、劇団員の決め方は違ってきますが、当番校が回ってくるのは3年に一度なので、そのチャンスを逃すと、3年後に回ってきたときに子どもたちは、もう卒業してしまっています。チャンスは一度きりなのです。(※2023年度の3年生に限り、チャンスがもう一度来ます!)
例年5月初めごろ劇団員が決まり、5月後半くらいから、練習がスタートします。

演技指導

演技指導は、劇団空素からすの小池氏が担当しています。そして、監督補佐として毎年力を貸してくれるのが、6代目助弥の高池くんです。他にも、毎年たくさんのOB・OGの子たちが集まってきてくれて、演技指導をしてくれています。
劇団員になった子どもたちは、はじめはみんな演技の最中、服の裾をひっぱったり、髪の毛を触ったり、ゆらゆらしたり、キョロキョロしたり、もじもじしたり、、、どうしても恥ずかしさを拭いきれないのですが、そんな子どもたちが、半年後には堂々とした役者の顔に変わります。その姿に、毎年いちいち感動してしまいます。
でも、そうなるまでには、何度か壁にぶち当たったり、プレッシャーに押しつぶされそうになって泣いたり、時には逃げ出したりする子もいます。
それを乗り越えた彼らは、半年前とは別人か?と思うくらいに成長しているんです。

資金集め

にとはちさま保存会は、自治会等の補助金と地元の協賛企業様の広告料で運営しています。
協賛企業様は、毎年100か所を超え、20ページ以上あるパンフレットの約半分が広告でうまります。地元の企業様たちには、いつも快くお受けいただいて本当にありがとうございます。

パンフレット・ポスター作成

劇団の子どもたちに、にとはちさまの絵をかいてもらい、その中からポスター、パンフレットの表紙になる絵を決めていきます。

配役決め

自分は、絶対にこの役をやりたい!と心に決めて入団してくる子もたくさんいます。第三候補まで希望を上げてもらい、一人一人監督と面談をします。自己紹介の様子や、日ごろの練習の様子などを見て、保存会スタッフ全員で配役会議を行い、公演2か月前くらいに配役が決定します。

大道具・小道具・衣装 の準備

大道具・小道具は20年前から使い続けているものもあります。毎年、補修したり、新しく作ったり、改良したりします。衣装も20年前に用意した物を使い続けていますが、学年全体で公演をした時は、農民の衣装を50着ほど追加で作りました。

ちいこ
ちいこ

古着屋さんで1着200円の地味めの着物を買ってきて、それを裁断して農民の衣装を作りました。女性スタッフで手分けして、夜なべしながら作りました。

会場づくり ~小学校の体育館を舞台会場にする!!~

ここからは、公演前日の準備になります。朝9時に集合して、全部終わるのは、夜中の12時頃。明日の公演を大成功で終わらせるため、全力を尽くします。

全部の窓、光が入る場所にカーテン・暗幕を引く

外からの光が1ミリも入らないように、窓、扉、カーテンの穴から差し込むほんの少しの光もシャットアウトします。養生テープを貼ったり、隙間に新聞紙を詰め込み徹底的にふさぎます。

ござ、養生マットを敷く

当日は、地域のお客様がたくさん見に来られます。にとはちさまの公演は、冬の公演が多いため、お客様のお尻が冷たくならないように、ござを敷いた上に、養生マットを敷きます。 

舞台づくり

体育館のステージを舞台にしていきます。
ステージの奥行きを広くするために、特設ステージを設置します。大工である保存会の伊藤会長が木材を持ち込み、ステージの高さに合わせて、土台を作って行きます。広くなった舞台に、ここにも暗幕を取り付けます。

さらに、ステージのバックの壁に、黒い布を吊るします。しわにならないように、よれないように、ステージと同じ広さの大きい布を、保存会スタッフが一気に持ち上げます。
こうして、小学校の体育館が舞台会場になります。

炊き出し

2020年から停止中・・・
それまでは、保存会女性スタッフにより公演前日にカレー、公演当日は豚汁とおにぎりの炊き出しを行っておりました。体育館で、劇団の子どもたちと、スタッフ全員が大きな輪になって、同じものを食べるのは、とてもいい時間でした。

照明合わせとバミり

夕方から、舞台会社のセッティングが入ります。みんなで夕食を食べ、一息ついた後に始まるのが、大人のにとはちです。当日、子どもたちが演じる「にとはちさま」を、最初から最後までスタッフが台本通りに演じます。ステージ上で照明の影になってしまう人はいないか、全部のシーンをチェックし、立ち位置をバミって(テープでマーキングして)いきます。これをにとはちさま保存会の中では「大人のにとはち」と呼んでいます。毎年この作業が一番時間がかかり、疲れもピークになっているのですが、この「大人のにとはち」になぜか力がはいってしまい、たまらなく楽しいのです!!

前日準備は、これで終了。

公演当日
着付け・メイク・大道具

公演当日は、着付け、メイクのあと、最終リハーサルを1~2回やった後、本番を迎えます。スタッフも舞台の袖にスタンバイします。限られた時間内での舞台の転換は大忙しです。

音響・撮影

人のために自分の力を使うことを喜びと感じる「義の心」を伝えて行くのが「にとはちさま保存会」の目的なのです!

この「にとはちさま保存会」なる団体は、にとはちさまに対する愛が非常に強い団体です。最初はしぶしぶ受けた役割も、活動をしていくうちにどんどんにとはちの魅力に取りつかれて行ってしまうので不思議です。「去年よりももっといい演劇にするぞ!」「史上最高のにとはちにしよう!」と毎年そう思いながら活動しているので、どんどん素晴らしい仕上がりになっていきます。
子どもたちが約半年間、一生懸命セリフを覚え、稽古を重ねてきた舞台を、大人が台無しにするわけには行かない!という責任感もあるとは思うのですが、それだけじゃなく、なぜか、この活動を心から愛し、全力で取り組んでしまうんです。
きっとこれが、助弥さんが教えてくれた「人のために自分の力を使うことを喜びと感じる義の心」です。

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