ちいこ
北信弁のページへようこそ!
長野県の方言(主に北信弁)のプロフェッショナルである、私の父と母(じやんとばやん)が楽しく北信弁の使い方をご紹介します!
「~ず」の意味
- ~しよう
- ~しましょう
- ~しようじゃないか
「~ず」の使い方
- それ、やらず。
→ それ、やろう。 - さあ、食わず。
→ さあ、食べましょう。 - そろそろ、行かず。
→ そろそろ、行こう。 - どうしらず。
→ どうしよう。
「~ず」の例文
例文 その1
じやん
さてと、犬の散歩の時間だな。
じやん
おーい、孫たち!
犬の散歩行かず!!
犬の散歩に行こう!!
孫たち
行かずぅ~、行かずぅ~♪
行こう、行こう♪
例文 その2
じやん
なんだか知らねーが、今日中に、この荷物を運び出さなければならないらしいんだお。
ずく出してやらず。
やる気出してやろう。
ばやん
しょうねーなえ。やらず。
しかたないね。やりましょう。
じやん
へー ダメだお。くたびれた。
ひと休みしらず。
もう ダメだ。疲れた。
ひと休みしよう。
ばやん
そうしらず。
そうしましょう。
例文 その3
じやん
よわったど。どうしらず。
困ったぞ。どうしよう。
敵に 作戦がバレないようにするために生み出された方言らしい
「行こう」を「行かず」に変えて言うと、「行かない」という意味に聞こえます。
昔の信州の人たちは、敵に話を盗み聞きされてもいいようにと、この「~ず」という言い方を編み出したらしいです。
本当かどうかはわかりませんが、子どもの頃にそう教わった記憶があります。
私が住む長野市には、「にとはちさま」という物語が語り継がれています。
300年以上前、18歳の若者が重い年貢をなんとかしようと、村の名主たちを引き連れて江戸の将軍様に直訴をしに行き、年貢を減らしてもらうことに成功したのですが、直訴をした罪によりその若者は打ち首になってしまうという義民のお話です。
きっと、このお話の中に出てくる、善光寺の裏庭で繰り広げられた直訴に向けての作戦会議で、「江戸に行かず」「直訴に行かず」などというやり取りがあったのではないかと思うんです。
物語だけでなく、昔の人たちが話していたこの土地の言葉たちも、こうして今の私たちに受け継がれているんだなーと思うと、とてもジーンとします。
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